長い間、思案していた紬の着物を仕立て直し依頼したことについて紹介させていただきます。
形見の品
母親の形見として受け取った着物(紬の着物、綸子の着物、総絞りの羽織)があります。
専門業者に洗い張り(着物の糸を解いて反物にして洗う)をしてもらい、桐の箪笥に20年以上しまっていました。
一部は総絞りの羽織は巾着にしたり、綸子の着物は洋服の裏地にしましたが、紬の着物については手付かずのままだったのです。
時折、紬の反物を眺めては何にするか悩み、洋服に仕立て直そうかと思ったものの、最終的には良い考えが思い浮かばず箪笥にしまっていたままでした。
茶道がきっかけ
学生時代(半世紀近く前)に生花(古流古今流)を習っていた時に先生から茶道を勧められたことがありました。
生花の他に俳画も習っていたこともあり、当時は茶道に対していまいち興味がわかなかったのです。
その後、茶道に関わる機会は多くなく、せいぜい客人として時折茶会に出席すて程度でした。
2年前に引っ越した際、たまたま行政広報誌を見ていたら茶道の募集をしていたのです。
大昔に先生に勧められたことを思い出し、茶道ならお着物を着れるので始めてみたいと思いました。
同時にこれまで手付かずだった紬の反物をお稽古着として仕立て直すことを思いつきます。
仕立て直しについて色々な人に話を聞いたりインターネットや広報誌などで調べたりすると、思いの外費用も高いですしせっかく仕立ててもいつまで着れるかわからないこともあり気持ちは揺れ動きます。
直したい気持ちと躊躇する気持ちなど色々な考えが頭の中を巡りましたが、仕立て直した着物で母の命日にお墓参りに行きたい気持ちが募り、直す決心をしました。
仕立て直し業者へ
仕立て直しは、以前知人に聞いていた近所のお店に行く事にしました。
紬の反物、総絞りの反物一部を持ち込みお話を聞くと、国内での作業と海外での作業には価格の違いがあるらしいのです。
価格の高い国内の方が熟練の技術で質も確かなのは想像できましたが、予算の都合とシミもできていたこともあり価格の安い外国人の職人を選択しました。
紬の反物の仕立て直しについて、母は私より小さいので参考となる自分の長襦袢を持参して隠れる所に足し布を入れてもらう点と、シミもあったので上手く隠せる様に仕立てをもらう点を含めて依頼しました。
総絞りの反物の一部について、裏地(八卦)に使えたら少し費用が浮くかなと思い伺ってみると、『総絞りでは表地に馴染まない』とのお答えでした。
他に使い道があるか伺うと、つけ帯にする人がいると教えてくださったのです。
費用は3〜5万円で見本を見せてもらうと、自分で出来ないことはなさそうと思い、こちらを依頼せずに持ち帰りました。
依頼品の受け取り
納期の1ヶ月が経ち、依頼していた紬の反物を取りに行きました。
浮き出ていたシミは下前や後身など目立たない場所に隠しもらいました。
足し布を入れてもらった残布と紬は1cm幅の細状が僅かに残っただけです。
目一杯、紬の反物を利用してもらいました。
外国の職人さんが仕立て直してくれた着物も満足しています。
かかった費用としては
・仕立て30,000円
・八掛8,000円
・胴裏7,000円
・寸法出し5,000円
合計50,000円になりました。
総絞りの帯作り
仕立て直し屋さんで教えてくれたので、帯を自分で作ることにします。
作り方については、YouTubeでつけ帯の作り方の動画を検索して何度も見ました。
薄い接着芯を貼った総絞りの生地を袋状(2m)にして、使っていなかった名古屋帯を芯替わりに押し込んでいます。
仕立て直した着物に合わせた小物
形見の着物に合わせて小物も準備して行きます。
着物に合わせたマスクはcreemaで購入しました。
着物と同じ紬なのでマッチしててとても気に入ってます♪
草履は少し色褪せてきたことから着物専門店の売出しで購入してきました。
手提げ鞄はお着物に合いそうな物がなかったので、残っている総絞りの反物で利用して自作する事にします。
手作りのリメイク帯、リメイク手提げ鞄と合わせることができました!
紬の反物が手付かずだったおかげで着物を仕立て直すことができ、母の命日にお墓参りに行く念願が叶いました。
早くコロナが収まって茶道のお稽古ができることを願っています。
来年は明るい年になるといいですね!
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